授業紹介「インテンシブ・ワークショップⅠ(講師:松井周)」

【演劇コース授業紹介⑪】


「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

 

インテンシブ・ワークショップⅠ」
講師:松井周

 

今回は、4月12日~14日の3日間開講された、松井周先生による「インテンシブ・ワークショップⅠ*」の授業の一部をご紹介します。
*インテンシブ・ワークショップⅠ:多彩な身体表現のプログラムに参加し、自己発見や他者とのコミュニケーション回路開発の方法などを学ぶ。とくに演劇に必要な身体表現は、今第一線で活躍中の演出家による集中的なワークショップを通して学んでいく。

 

[講師プロフィール] 

松井周(劇作家、演出家、俳優、サンプル主宰)

1972年生、東京都出身。1996年に劇団「青年団」へ俳優として入団。その後、作家・演出家としても活動を開始、2007年に劇団「サンプル」を旗揚げする。『通過』(2004年)で第9回日本劇作家協会新人戯曲賞入賞、『自慢の息子』(2010年)で第55回岸田國士戯曲賞を受賞。さいたま・ゴールドシアター『聖地』(演出:蜷川幸雄/2010年)、文学座アトリエの会『未来を忘れる』(演出:上村聡史/2013年)、新国立劇場『十九歳のジェイコブ』(演出:松本雄吉/2014年)、など脚本提供でも高く評価されている。

 

この授業では、劇作家・演出家で、俳優としても活躍する松井周先生を迎え、3日間をかけて「演技が上手い」というのはどういうことか、どのような要素が演技を「上手い」と思わせるかについて考えました。

初日は、演技の理論的な話から始まりました。演技とは何なのか、上手いと思う瞬間はどこにあるのか、一つ一つのことに問いを持つことが重要だと説明していただきました。

「俳優の技術」についても、セリフを発語するための状態のつくり方から継続して舞台を続けるためのアフターケアの部分まで幅広く説明していただき、学生も真剣に耳を傾けていました。

その後は、ワークショップ形式で、2人組の片方が目をつむって、片方が指示を出し、ランダムに配置された椅子を避けていくゲームを行い、五感を使って行動する感覚を体験しました。

他にも、3人組での会話形式のワークでは、異なる意見を持った3人が雑談的な会話の中で、自分の意見に賛同させるためにどのような行動や発言をするのか、実践・観察しながら考えました。

テキストを使ったワークでは、ロシアの作家、アントン・チェーホフの戯曲『かもめ』を実際に自分が使う日常的な言葉や行動に置き換えて演じました。相手との対話を意識し、自分の感覚を利用しながらシーンに取り組みました。

3日目は、松井先生の戯曲『地下室』から抜粋したテキストを使ってのワークを行いました。

誰が何の目的で、何を狙って、誰にベクトルを向けてセリフを発しているのか。6人のシーンだからこその雰囲気づくりや互いの関係性など、細かい点まで意識しながら演じました。

演技についてじっくり考え、観察し、研究する、貴重な3日間となりました。

 

【学生の声】

宮地友希乃さん 4年生 身体表現と舞台芸術メジャー

今回、松井さんのワークショップ(以下、WS)を受けて、自然な演技というものが、どのような意識や行動から表現できるのかということを学ぶことができました。
3日間のWSで、1日目は講義形式でした。演技とは何か、TPOにあった役での振る舞いなど、演技に対する考え方を自分の中でより鮮明にすることができました。分かりやすく、笑いのある楽しい講義でした。
2日目、3日目は、テキストを用いた実践的なWSでした。チェーホフの『かもめ』のテキストを、日本語訳の原文を読むのではなく「自分の話す・使う言葉」に変換して読みました。変換する作業に集中しすぎると元の台本から逸れてしまうこともあり、難しかったです。最終日には松井さんの作品、『地下室』のテキストで、3日間で学んだ演技観を、実践を通してより明確にできました。
学びの多い、面白いWSでした。