授業紹介「インテンシブ・ワークショップⅠ(講師:岩井秀人)」

【演劇コース授業紹介⑮】


「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

 

インテンシブ・ワークショップⅠ」
講師:岩井秀人

 

今回は、4月9日~12日の4日間開講された、岩井秀人先生による「インテンシブ・ワークショップⅠ*」の授業の一部をご紹介します。
*インテンシブ・ワークショップⅠ:多彩な身体表現のプログラムに参加し、自己発見や他者とのコミュニケーション回路開発の方法などを学ぶ。とくに演劇に必要な身体表現は、今第一線で活躍中の演出家による集中的なワークショップを通して学んでいく。

 

[講師プロフィール] 

岩井秀人
(劇作家・演出家・俳優・ハイバイ主宰)

2003年「ハイバイ」を結成。2007年より青年団演出部に所属。東京であり東京でない小金井の持つ「大衆の流行やムーブメントを憧れつつ引いて眺める目線」を武器に、家族、引きこもり、集団と個人、個人の自意識の渦、等についての描写を続けている。2012年『生むと生まれるそれからのこと』が、第30回向田邦子賞を受賞。2013年に『ある女』が、第57回岸田國士戯曲賞を受賞。https://hi-bye.net

 

この授業では、劇作家・演出家でありハイバイ主宰の岩井秀人先生を迎え、先生がライフワーク的に取り組んでいる企画「ワレワレのモロモロ*」に挑戦しました。

*ワレワレのモロモロ:参加者自身が「自分の身に起こった話を書き、演劇化する」という企画。

 

ワークショップ初日、「皆さんの身に起こった〈今でも許せねえ話〉や〈ひっどい目にあった話〉をたくさん聞かせてください」という岩井先生の言葉をきっかけに、学生たちは自身のエピソードを話し始めました。

だんだん家族や恋愛、幼少期の話から、純粋に自分が気になっていること、少しだけ後悔していること、人の生死に関することなど、普段一緒に過ごしていてもなかなか聞くことのない話題へ自然とフォーカスしていきました。



そしてそこからエピソードをピックアップし、実際にシーンとして立ち上げていく作業を行いました。

・その場には誰がいたのか
・どういった場所や状況、状態だったのか
・相手はどんな言葉を発して自分はどう感じていたのか

といった詳細を全体で共有したあと、まずは本人にその場面を演じてもらいます。
その他の登場人物も本人が選び、提示された情報をもとに短いシーンを即興で作りました。

何度か確認しニュアンスやタイミングを調整できたら、次は誰か別の人に代わってもらい、本人は外側から見ます。

最後はもう一度本人として登場し、あの時の自分が言いたかったけど言えなかった気持ちを本人役の学生のそばで吐露します。体験した学生は当時の感情を鮮明に思い出し、それに伴い身体の状態や呼吸が変化するのを感じたそうです。

過去と現在が目の前でリアルに交わっていく様子を、学生たちも興味深く集中して観ていました。

 

全4回の授業では、このようなシーンの立ち上げと発展を繰り返し行いました。

高校生の頃の話

美容室の話

おばあちゃんの話

 

最終日は2グループに分かれて、ひとつのエピソードをしっかりと創りこみました。
1度目の発表のあとには岩井先生からフィードバックをいただき、人物の配置やテキストの選定、全体の構成など、お客さんにどう見せたいかを重点的に考え直し、グループそれぞれでアイデアを出し合います。



そして2度目の発表。
どちらのグループにも工夫が見られ、1度目よりもグッと踏み込んだ面白いシーンができあがりました。

日常の些細な瞬間にこそ喜劇も悲劇も詰まっていると、学生たちは改めて気付くことができました。
そしてその日常から地続きに創作へ発展していけることを再確認でき、非常に有意義な4日間となりました。