授業紹介「インテンシブ・ワークショップⅠ(講師:小池竹見)」

【演劇コース授業紹介⑯】


「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

 

インテンシブ・ワークショップⅠ」

講師:小池竹見

 

今回は、9月11日~14日の4日間開講された、小池竹見先生による「インテンシブ・ワークショップⅠ*」の授業の一部をご紹介します。
*インテンシブ・ワークショップⅠ:多彩な身体表現のプログラムに参加し、自己発見や他者とのコミュニ
ケーション回路開発の方法などを学ぶ。とくに演劇に必要な身体表現は、今第一線で活躍中の演出家による
集中的なワークショップを通して学んでいく。

 

今回は台本がなく、与えられた設定のみを活かして即興で演技を行うエチュード演劇を用いて、役作りや表現力、アドリブ力を身に着けるための方法を教えていただきました。

まず、適当な設定を用意して、4~5人一チームとして話し合いもせずにいきなり演じます。時間制限を設けその中で、話を展開していき、時間を取って今のエチュードを振り返り、その場に起こった状況を整理していきます。

1つの設定で5~10回この流れを繰り返し、毎回入れ替わる、役柄やエンディングを楽しみながら、学びます。

また別のチームを見ることで客観的な視点で役同士の関係性や展開の流れなどを観察しました。

 

それぞれの役者が前回の物語をベースに、「キャラクターを変えてみよう」「設定を変えてみよう」「やることを変えてみよう」など新しいアイディアを放り込むことによって少しずつ変化していきます。

何度も繰り返していくうちに、一回目では意識できていなかった他の役との関係性や、言動のアラなどが徐々に修正されて現実味を帯びていきます。

 

今回用いた設定は、2人で1人を演じるものや、夏休み明けに登校したらクラスメイトの会話が聞き取れなくなっているなど、リアルに即していない設定にあえてすることで、どのように話を展開していくか想像力を駆使して発展させていきました。

 

初めのうちに一番苦戦していたことが、会話の流れを止めずに話を展開していくことでした。

相手の台詞をすぐに理解し、何が大切なのか瞬時に判断して、自分のアクションにつなげていく作業は頭の回転を速める必要があります。慣れるまでは、処理に時間がかかったり、躊躇して話にうまく入れなかったりして、流れが停滞していました。

回数を重ねることで、躊躇がなくなり自分から発信できるようになりました。

また、相手のアイディアを受け入れて発展させることも学びました。相手のアイディアが無理難題であったり、受け入れることによってつくり上げていたものが崩れたりする瞬間もありましたが、新たな発見や、こっちの方が面白くなりそうだという道筋が見つかることも多くあり、発想力や対応力を身に付けるために重要だということを学びました。

 

今回の授業では、演技プランを用意するのではなく、その世界に没入し自分の中にある知識を使って演じることを学びました。

日常では、パッパッパと意識を切り替えながらできていることも、なぜか芝居になるとセリフとト書きが全てになってしまいがちですが、今回のワークショップを通じてリアルと同じように注意が向き、気を使い、そして行動をする感覚を養うことができました。