授業紹介「インテンシブ・ワークショップⅠ(講師:森新太郎)」

【演劇コース授業紹介⑫】


「身体表現と舞台芸術メジャー」「舞台技術・公演マイナー」「アーツ・マネジメントマイナー」「演劇ワークショップ実践マイナー」で行われている舞台芸術に関する様々な授業を写真とともにご紹介いたします。

 

インテンシブ・ワークショップⅠ」
講師:森新太郎

 

今回は、7月5日~7日の3日間開講された、森新太郎先生による「インテンシブ・ワークショップⅠ*」の授業の一部をご紹介します。
*インテンシブ・ワークショップⅠ:多彩な身体表現のプログラムに参加し、自己発見や他者とのコミュニケーション回路開発の方法などを学ぶ。とくに演劇に必要な身体表現は、今第一線で活躍中の演出家による集中的なワークショップを通して学んでいく。

 

[講師プロフィール] 

森新太郎(演出家・演劇集団円所属)

1976年生まれ。東京都出身。演劇集団円演出部会員。06年「ロンサム・ウェスト」で演出デビュー。現代劇から古典劇までジャンルを問わず幅広く手がけ、これまで数々の賞を受賞。自身が主宰するモナカ興業でも精力的に活動している。13年、文化庁新進芸術家在外研修員としてアイルランドに滞在。読売演劇大賞グランプリ、毎日芸術賞千田是也賞、文化庁芸術祭賞優秀賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞など。

 

この授業では、数多くの海外戯曲や古典戯曲に取り組んできた演出家、森新太郎先生を迎え、シェイクスピアの戯曲『ハムレット』に挑戦しました。

全3回の授業では、毎回初めに1時間程度、音楽を流しながらダンスを行いました。常に二人ペアになり、曲調をとらえながら、時に激しく、時にゆっくりと、自分の感性とペアの相手から受け取った感覚に従いながら自由に体を動かします。

 

ハムレット』は1601年頃に書かれたと言われる、シェイクスピアの四大悲劇の一つとしても有名な戯曲です。
全5幕からなる戯曲の第1幕を授業では扱いました。

戯曲冒頭(第一幕第一場)、城壁の上の通路で見張りの従臣が亡き先王ハムレットの亡霊と出会うシーンから読み合わせを行いました。当時の状況や登場する人物像、セリフの意図など、森先生から詳しく解説を受けながら少しずつ口に出して読んでいきます。

セリフをどのような言い方で表現するか、ということではなく、イメージをしっかり持った上で、緊張感とテンションを持続させながらシャープにセリフを発することができるかを意識しながら読み稽古を行いました。何度も同じシーンを繰り返し、精度を上げていきます。

2日目以降は実際に立っての稽古も行い。身体の状態や人物間の距離など、細かく指導していただきながらシーンに取り組みました。

 

古典戯曲に集中的に取り組むことで、現代の感覚と距離の遠い難しいセリフに立ち向かうための心構えと技術の一部を実践的に学ぶことができました。学生にとって貴重な機会となりました。

 

【学生の声】

関口晴さん 2年生 身体表現と舞台芸術メジャー

森さんの俳優から演技を引き出すためのアプローチの豊富さに驚いた。嬉しさの度合いを5が最大として4が欲しいときに、1から丁寧にイメージさせることで体感的に理解させやすくしていた。自身の感性と他者をつなげる手玉を常に複数持っておくこと。これは振付やステージングの際にもかなり役立つだろう。そして、俳優としては腹で演技をする感覚を少し掴むことができた。以前は筋肉を用いてコアで支えるという意識であったが、内臓と感情をズゥっと落としていくような、力を入れることとはまた違う感覚を学ぶことができた。